1.金銀パラジウムクラウン(保険適応)
金12%、銀50~60%、パラジウム25%の合金。特徴としては、硬
く、適合性は金合
金に 劣る。また、硫黄成分が多い唾液の場合、黒く変色する可能
性がある。
2.ゴールドクラウン(保険適応外)
1)金合金
ADA(アメリカ歯科医師会)の分類により、TypeⅠ(金
84%)~TYpeⅣ(金67%)に分類されます。金の含有量が多い
ほど軟らかくなります。一般的にクラウンには、TypeⅡかⅢが
使用されます。
2)PGA合金(白金加金):白金の含有量により銀色の場合あり。
金合金に数%の白金を加えたもの、白金を加えることにより同じ
金の含有量でも 軟かさがまし、アレルギーの発現の可能性がより
少なくなります。様々な種類があります。
3.前装冠
1)レジン前装冠(一部保険適応)
金属で、形成した歯牙の上にコアを作り、その上に白い樹脂を
くっつけたもの。前歯部の場合にのみ金銀パラジウム合金で作っ
たものが保険で認められています。小臼歯や大臼歯は保険適応外
となります。但し樹脂という性格上、写真のように噛み合わせの
部分を白い樹脂で覆うことが出来ず、白い部分は、外側のみとな
ります。長期的使用により、変色し、樹脂がすり減って下の金属
部分が見えてきます。
2)セラミック前装冠(保険適応外)
金属のコアの上に、数千度の熱でセラミックを焼き付けて作りま
す。コア部分にはPGA合金を使用し、通称メタルボンドクラウン
と呼ばれます。表面はセラミックであるため、それ自体は変色せ
ず、いつまでも艶やかな表面を保ちます。強度的にもレジン前装
冠と比較してはるかに丈夫です(上写真)。
オールセラミッククラウン
金属を全く使用しないかぶせ物のことです。金合金やPGA合金でもアレルギーを起こす方もい
ます。その様な方の場合は、金属を全く使用しないかぶせ物を装着する以外に方法がありませ
ん。また金属を全く使用しないために、歯肉との親和性がよく、自然感があります。さらに金
属イオンの流出により、歯肉が黒ずむこともありません。
1)ハイブリッドセラミッククラウン
セラミックにレジン(樹脂)を混ぜた材料で出来ています。歯とほぼ同じ硬さで、天然
歯を痛めにくく、セラミッククラウンと比較して安価であるという利点がありますが、
割れやすく変色する可能性もあります。また色調もセラミックと比べると見劣りしま
す。
ぞくにいうホワイトメタルと呼ばれ、ジルコニウムの酸化物です。人工ダイヤモンドやセラミック包丁などに利用されています。この酸化ジルコニアに酸化イットリウム混ぜて溶かし、安定化させた安定化ジルコニアと呼ばれるものを歯科材料として使用しています。この材料は、整形外科で骨の人工関節などに使用されるほど生体親和性が高く、強度と靭性をもち耐熱性、耐食性、耐久性に非常に優れています。金属イオンの溶出もほとんどないため金属アレルギーの方にも安心して使用可能です。2005年に歯科用ジルコニアとして薬事法の認可を受け現在世界中で500万本以上の歯に使用されています。今までのセラミックでは叶わなかった金属を一切使用しない治療が可能となります。
ジルコニアクラウンと呼ばれるものにも2種類のものがあります。
2)ジルコニアクラウン
コアの部分を金属の代わりにジルコニアで作り、その上にセラミックを焼き付けて製作
したもの。丈夫で歯肉との親和性もよく、色合わせも柔軟に富み、色調的にも優れてい
る。ただ臼歯部に応用した場合に、セラミックの部分が欠ける場合があります。
3)ジルコニアフルアナトミカルクラウン(ZENOSTAR)
金属のクラウンを作るのと同じように、コアだけでなく噛み合わせ部分も全てジルコニ
アで製作したもの。臼歯部に応用しても噛み合わせの部分が欠ける可能性が非常に少な
くなります。ただ色調を合わせるのが難しく、前歯部では無理な場合があります。
利点としては、従来のジルコニアクラウンと比べて安価です。
向かって左は、ステイン(着色)をつけて色を調
整したもの
向かって右は、ジルコニアそのものの色。
噛みしめや歯ぎしりがあり、奥歯にポー
セレンクラウンを入れると欠けてしまう
場合には、オールジルコニアクラウンが選択肢として考え
られます。