<虫歯治療>

虫歯の治療と言えば、穴の空いた歯の部分(う窩)を詰めたり、かぶせたりするイメージがありますが、本来の治療はそうではありません。むしろそのような処置は、残念な結果(穴があいてしまった)の後始末と考えるべきです。虫歯というものは、少し専門的になりますが、歯の硬組織からカルシウムとリン酸塩が唾液中に消失する(脱灰)プロセスをいいます。

 

このプロセスを防ぎ、カルシウムとリン酸塩の歯への再付着(再石灰化)を起こすことが、本来の虫歯の治療です。

左の画像では、脱灰によりエナメル質表面に白濁が出来ています。右の画像では、脱灰を防ぐ環境を整えることにより再石灰化が起こり白濁が消失したことがわかります。

ではどの様にすればよいのでしょうか。

 

虫歯は、唾液が酸性に傾くことによって起こります。それを防ぐには、前項の「予防歯科」で述べたことを普段から実行する必要があります。つまり予防歯科が究極の虫歯治療といえます。それを実行する手助けをするのが、我々歯科医院のスタッフの役割だと考えています。

それでも虫歯ができれば、どの様に治療すべきでしょうか?

 

その治療にあたっての重要な考え方がMinimal Intervention(MI)という考え方です。

歯質や歯髄への犠牲を最小限に抑え本当に悪くなったところだけを除去して修復する治療法です。歯科材料の進歩がこれを可能にしました。

 

従来なら、歯と歯の隙間と咬み合せを大きく削り、型を取って金属の詰め物をしていました。しかし白い樹脂の材料の接着性や材質の性状の向上により感染部位のみを除去して修復することが可能になりました。さらに近年拡大鏡やマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)などを使用することでより精度の高い治療ができるようになっています。